天草市スポーツコミッション

活動エリア
熊本県天草市
人口
73,786人(令和8年8月現在)
面積
683.82㎢
位置
熊本県南西部の周囲は藍く美しい海に囲まれた天草上島と天草下島および御所浦島などで構成する天草諸島の中心部に位置している。
取材年度
2023年

人材・施設・制度を有機的に活用し、スポーツを通じた
交流機会の創出や地域活性化を図るコミッション

設立の経緯
・2015年に天草市スポーツ推進計画(第二次)を策定し、その後推進計画の具現化のため、天草市スポーツ施設拠点整備基本計画を策定。
・市内スポーツ施設の中でも拠点となる陸上競技場の2023年7月の供用開始に先駆け、ハードを最大限活用して大会・合宿を誘致し、地域活性化を担う組織として2022年4月に設立。
・市と民間企業との独自連携事業によって社員の派遣を受けており、コミッション業務を担当している。派遣者は「天草宝島戦略マネージャー」と呼ばれ、民間の知見を活かして活動している。
基礎情報
所在地
熊本県天草市
設立
2022年4月
予算
約4,700万円
職員数
5人(うち戦略マネージャーが3人)
担当部署
地域振興部スポーツ振興課
組織体制

ポイント

「天草宝島戦略マネージャー」の配置

 天草市の地域資源を活かすことで、市内企業と市外企業の双方にメリットがあるプロジェクトを支援し、そのために必要な人材を誘致する市の独自事業として「二地域就労促進事業」を実施している。派遣者を「天草宝島戦略マネージャー」として委嘱し、派遣者の知恵やノウハウなどと、天草市が持つ豊富な地域資源を結びつけることにより、事業・プロジェクトの高度化や販路拡大などを支援している。
 スポーツコミッションには3名の戦略マネージャーが所属しており、ANAあきんどから1名、NPO法人ひとづくりJAPANネットワークから2名となっている(2023年9月現在)。戦略マネージャーを中心に、大会の合宿のマッチングや新たな大会に向けた調整などを行っている。
 ANAとのつながりを活かした事業として、ANAの社員アスリートによるラグビースクール、チアダンスレッスンを行っている。その他、子どもの体力増進サポートプログラムという位置づけで、社員アスリートとの交流、運動教室、オリンピアンとの運動教室なども実施している

大矢﨑緑地公園陸上競技場(天草市スポーツコミッションセンター)の整備

 以前は天草市の陸上競技場には300mトラックしかなく、県大会等と同じ条件で練習できないなどの課題があった。こうした要望を受け、スポーツ拠点施設整備計画の端緒として400mトラックを備えた陸上競技場を2023年7月に供用開始した。また、インフィールドはサッカーなどが実施可能な天然芝となっており、大会や合宿誘致を行える環境を整えた。
 陸上競技場を拠点として大会・合宿の誘致を積極的に行うため、陸上競技場内に「天草市スポーツコミッションセンター」の事務所を設け、コミッション担当職員が常駐しており、コミッションと施設が同一の場所にあることでスムーズな誘致につなげている。また、陸上競技場の外周を1kmのウォーキングコースとすることで、整備前より市民の利用も増加し、市民の健康づくりや地域コミュニティの形成にも寄与している。

オフィシャルパートナー制度の構築

 コミッションと地元の協賛事業所との間で良好なパートナーシップを築き、コミッションの各種事業に協働で取り組んで行くことを目的にパートナー制度を構築している。
2023年9月現在、①プラチナパートナー(年会費3万円/宿泊施設:13社)、②ゴールドパートナー(年会費1.5万円/飲食業者:4社)、③シルバーパートナー(年会費1万円/プラチナ・ゴールド以外の業種すべて:18社)、④サプライヤー(物品協賛)の4階層にわかれており、パートナーになるとコミッションが大会・合宿等を誘致した際、優先的に事業に協力できるメリットがある。また、パートナー企業は「天草市スポーツコミッション事業に協力している」という文言を自社のウェブサイトに掲載できる権利も付与される。
 オフィシャルパートナー制度は前述の戦略マネージャーが考案した制度であり、宿泊施設の支配人層へダイレクトにアプローチしてパートナーを獲得するなど、その人脈も大いに活用している。今後は、パートナー企業に陸上競技場の優先予約権の付与や、施設と宿泊等がセットとなったパックを販売するなど、よりパートナーのメリットとなる制度を整備していく予定である。