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2026.01.20

【事例紹介】高知県スポーツコミッション

高知県スポーツ産業基盤創出プロジェクト勉強会

12月、第5回目を迎える「高知県スポーツ産業基盤創出プロジェクト勉強会」(以下、「勉強会」)が開催されました。この日のテーマは「B.LEAGUE47都道府県プロジェクト:Bクラブによる地域活性化と高知県におけるBクラブ設立の可能性」です。
会場には、スポーツ関係者はもちろん、自治体職員、経済界、大学、メディアなど県内の多様な組織から参加者が集まり、オンライン受講者も含めるとおよそ40名が熱心に耳を傾けていました。

高知県スポーツコミッション(以下、「高知県SC」)が主催する本勉強会は、スポーツを起点とした「稼ぐ仕組み」や持続可能な事業モデルの形成を目的に、産官学⺠が⼀体となって議論する場として開催されています。「スポーツ×企業版ふるさと納税」「スポーツ×地方創生」「スポーツ施設のPPP/PFI」などをテーマに、全10回にわたって専⾨講師を招いた講演や意⾒交換が行われています。本勉強会はスポーツ庁による令和7年度地域SC多角化支援事業を活用しています。

第5回高知県スポーツ産業基盤創出プロジェクト勉強会

勉強会から生まれた関心と広がり

勉強会終了後に行われた懇親会にも20名を超える参加者が集まり、Bクラブ設立の可能性について立場を超えた意見交換が行われました。講師として登壇したBリーグ関係者からも、「これほど多くの関係者が議論を深めるケースは珍しい」との声が聞かれました。
また、今回の勉強会にあわせて、Bリーグ関係者による県庁や地元メディアへの訪問も行われました。こうした動きを通じて、高知県でのBクラブ設立の可能性や地域活性化について、県内の関係者の間で考えを深める機会となっています。
高知県SCは、こうした機会を効果的にコーディネートすることで、単発の取組ではなく、地域全体の動きへと広げていく役割 を担っています。

民間主導で設立された高知県スポーツコミッション

こうした取組の背景には、高知県SCの設立経緯や組織としての考え方が関係しています。
高知県では、2018年に県が主導する形でスポーツコミッションの設立に向けた検討会が行われましたが、設立には至りませんでした。しかし、その後、検討会に携わっていた有志が立ち上がり、2021年9月、民間主導で高知県SCが設立されました。民間主導の都道府県単位の地域SCは、全国的にも多くはありません。

高知県SCは、これまでに、スポーツ庁の補助事業や県からの委託事業等を通じて、合宿誘致や国際交流事業などのアウター事業、アスリート派遣や交流イベント、マネジメント人材育成事業などのインナー事業に取り組んできました。 中でも、プロダンスリーグ「D.LEAGUE」に参画する「CHANGE RAPTURES」と連携して推進しているダンスを活用した地域活性化は、高知県の伝統文化でもある「よさこい」とダンスの融合によって、地域色を持った県全体をつなぐ独自の事業として発展しており、「スポーツ・健康まちづくり」優良自治体表彰2024で長官特別賞を受賞するなど、県内外から高く評価されています。この成功を受け、県が関連予算を計上するなど、政策にも大きく影響を与えています。

プロのダンサーと一般公募で集まった踊り子によるよさこいチーム
(画像引用:SPORTS PORTAL KOCHI)
プロダンサーによるダンスワークショップ
(画像引用:SPORTS PORTAL KOCHI)

「窓口機能」と「ネットワーク機能」が生み出す価値

高知県SCでは、行政からの補助金に頼らず、民間の主体性を維持する事業モデルを模索しています。特徴的なのは、自らは事業主体とならず、「窓口機能」と「ネットワーク機能」に注力することで、既存の団体や企業、行政の連携によって事業が継続されることを目指している点です。
高知県は、少子高齢化や人口減少といった日本全体が抱える課題に、全国に先んじて直面しています。高知県SCでは、この状況を逆手に取り、課題解決先進県として位置づけることで、県外の企業や団体に対して実証実験の場としての投資対象と捉えてもらうことで、先進的な取組を高知県に呼び込んでいます。これが「窓口機能」です。
そして、呼び込んだ事業を、高知県SCの持つ「ネットワーク機能」によって、地域の経済界やスポーツ団体、行政等と接続し、持続可能な事業に向けて各組織が連携するためのつなぎ役を担っています。

今回の勉強会も、スポーツ産業基盤の創出に加え、産官学民の垣根を超えた新たなネットワークの構築・拡大を目的としています。
恒久的に存続することを目指すのではなく、既存の組織間の連携が促進されていった先に、自らが関与しなくても地域の中で自律的に連携される将来を見据えている高知県SCの取組や、そのための機能は、地域の持続可能性を考えるうえで示唆に富む視点と言えるでしょう。
今後の高知県SCの動向にもぜひご注目ください。