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2026.03.03

【事例紹介】スポーツコミッションせんだい

スポーツを支える人材を育てる取り組み

2月13日、ゼビオアリーナ仙台内スポーツ・ラボにて、スポーツコミッションせんだい(以下、SCせんだい)が主催する「スポーツマネジメント人材育成セミナー(全3回)」の第2回、「つなぎ、ささえあい、共に創る『市民が関わる仙台・宮城のスポーツ』」が開催されました。本セミナーは、スポーツを通じた地域活性化を持続的に推進する人材の育成を目的として実施されており、スポーツ庁による令和7年度地域SC多角化支援事業の一環で実施しています。会場には自治体、民間企業、地域スポーツ団体、教育機関などから約40名が参加し、多様な立場からスポーツと地域の関係性や持続可能な運営のあり方について考える機会となりました。

SCせんだいは、「人とまちが元気に輝き続ける -Sports City SENDAI-」を掲げ、「スポーツによる街の活性化」「地域のスポーツ振興」「スポーツを支える力の強化」の三つを事業の柱としています。多様なスポーツイベントの誘致・開催支援や、在仙プロスポーツクラブとの連携を通じたまちの活性化に向け取り組む中で、持続的なスポーツ振興を支える基盤として重視しているのが「スポーツを支える力の強化」です。「スポーツマネジメント人材育成セミナー」では、イベント開催等のノウハウは属人的なものとなりやすく、また行政機関等は異動周期が短いことから、産学官双方でスポーツマネジメントやマーケティング的発想を有する人材を育成することを目的としています。今回のセミナーのテーマである市民スポーツボランティアは、「スポーツを支える力の強化」を具体化する取組の一つとして位置づけられています。

第2回スポーツマネジメント人材育成セミナー
「つなぎ、ささえあい、共に創る『市民が関わる仙台・宮城のスポーツ』」

仙台におけるスポーツボランティアの歩み

今回のセミナーでは、市民スポーツボランティアSV2004 元代表・現スポーツ・ラボ仙台の泉田氏を講師として迎え、ベガルタ仙台のボランティア活動を起点に、宮城国体や2002年サッカーワールドカップなどを契機として設立された、市民による継続的な組織「市民スポーツボランティアSV2004」の変遷、活動を通して得られた視点が紹介されました。また、ボランティアが単発のイベント支援にとどまらず、市民が主体的に関わる仕組みを築いてきたことが紹介されました。
講義では、ボランティアを大会運営の補助的存在ではなく、「楽しさ」や「つながり」を生み出す主体として位置づける考え方が示されました。また、「ささえる」から「ささえあう」への転換が重要であると語られました。
活動を通じて培われたネットワークや経験は、地域のスポーツ文化を支える基盤となっており、SV2004の取組はSCせんだいが掲げる「スポーツを支える力の強化」を具体化するものといえます。

第一部講義後も活発な質疑応答が行われました

対話から見えてきた「市民参加」の可能性

第二部では、講義内容を踏まえ、「市民(ボランティア)が参加することで改善が期待できるスポーツ・地域課題は何か」「課題解決のために市民が参加しやすくするには何が大切か」「その取組や協力関係を継続させるために必要なことは何か」といった問いをもとに、グループディスカッションが行われました。
グループによって議論の切り口はさまざまで、ボランティアの意義や役割そのものを改めて考える対話が行われたグループのほか、具体的な事業やイベントを想定しながら参加の仕組みを検討するグループも見られました。
また、参加のハードルを下げる情報発信や役割の明確化、感謝の可視化、交流の場づくりなど、ボランティア参加の継続性を高めるための視点が共有されました。ボランティアは一方的に「支える」のではなく、関わる人同士が支え合う「おたがいさま」の関係性であるべきではないかという意見も挙がりました。
講義で示された「ささえる」から「ささえあう」への転換という考え方が、参加者それぞれの立場に引き寄せて、実践的に議論されました。

市民参加について考えるグループディスカッション

市民参加によるスポーツまちづくりに向けて

本セミナーを通じて示されたのは、スポーツボランティアを単なる大会運営の補助的存在として捉えるのではなく、市民が主体的に関わり、地域とつながり、共に価値を創り出す基盤として再定義する視点です。
仙台での取組は、市民による継続的な組織運営や人材育成、分野横断的なネットワーク構築を通じて、スポーツを起点とした市民参加の仕組みを形づくってきました。これは、地域スポーツコミッションが担う「スポーツを支える力の強化」を具体化するモデルであり、他地域にとっても示唆に富む取組といえるでしょう。
SCせんだいの今後の取組にも期待が寄せられます。

セミナーを通じて共有された市民参加の視点