【事例紹介】久喜スポーツコミッション
3人制バスケットボールを通じたまちづくり「3X3 KUKIプロジェクト」
2024年3月にスポーツ団体や観光・商工関連団体、企業、プロスポーツチームなどで構成する久喜スポーツコミッション(以下、久喜SC)が設立されました。市が掲げる「健幸・スポーツ都市」の推進を目的として、交流人口や関係人口の増化を図り、地域活性化へとつなげることを目指して活動しています。特に力を入れている取り組みが3人制バスケットボールを通じたまちづくり「3X3 KUKIプロジェクト」です。
「育成」をコンセプトに地域が連携する3X3のスポーツコミュニティ
2024年7月、毎日興業アリーナ久喜(久喜市総合体育館)にて2日間にわたって「3X3 KUKI CUP」が開催されました。埼玉県東部エリアを中心に小学生91チーム、中学・高校生137チームが集まる過去最大規模の大会となりました。
大会の特徴として、運営の中心を久喜高校バスケットボール部の生徒たちが担っていることが挙げられます。久喜高校は5人制のバスケットボールでも県内屈指の強豪校として有名ですが、顧問の先生が主体性を育むチーム作りに3X3の競技特性を活用できると考えたことから3X3にも取り組み始め、3X3 U18日本選手権でこれまでに二度の日本一に輝いています。生徒たちは、大会運営だけでなく、大会と併せて開催された小学生向けのクリニックでも、自分たちで内容を考え小学生にバスケットボールを教えていました。3X3と相性のよい「主体性を育む」という育成コンセプトが地域の3X3コミュニティの核になっています。
プロチーム「埼玉ワイルドベアーズ」が久喜市をホームタウンに
もうひとつ特徴的なのは、3X3のプロチーム「埼玉ワイルドベアーズ」が大会運営やクリニックに事業協力していることです。
埼玉ワイルドベアーズは県内初の3X3プロチームとして誕生し、競技だけでなく普及活動にも力を入れています。当初はさいたま市を拠点としていましたが、2023年1月に久喜市との連携協定を締結、4月からホームタウンを久喜市に移しました。地域に密着したチームづくりに魅力を感じていたオーナーは「3X3が盛んな地域で活動するのが一番だと思った」と話しており、大会運営やクリニック、イベントなどにも積極的に参加して地域とチームの距離を縮めています。この移転により小学生からプロチームまでを繋ぐ普及・育成・強化までの総合的な3X3コミュニティができあがりました。
久喜スポーツコミッションが目指すもの
KUKI CUPの会場には、デジタルスポーツ体験ブースやマルシェ、キッチンカーも並んでいました。これら地域の事業者や市民団体を繋いだのが久喜SCです。多くの来場者に会場周辺で消費活動を活発に行ってもらい、地域経済の活性化に繋げる狙いです。久喜SCの会長も務める埼玉ワイルドベアーズのオーナーが「スポーツをやっていない人たちも来たくなるようなイベントを作りたい」と語るように、スポーツと地域の事業者や産業を繋げることが久喜SCの重要な役割となっています。
また、事務局を担う久喜市役所は、ヒト・モノ・カネを市に頼る仕組みだと継続しないため「久喜SCの構成員や地域の団体が主体的に動いていく形」を理想に掲げ、構成員が主体性をもって継続的に地域の活性化に取り組む団体を目指しています。選手自身に主体性を求める「3X3マインド」と同じように、構成員が主体的に久喜SCを活用する組織づくりは、他の地域のスポーツコミッションにも参考になることと思います。
久喜SCでは、3X3 KUKIプロジェクトだけでなく、デジタルスポーツの推進やアーバンスポーツを活用した交流人口の拡大にも取り組んでいく予定ですので、今後の動向にもぜひご注目ください。