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2024.11.29

【事例紹介】「モルック震災復興ななおオープン」視察レポート

11月17日、石川県七尾市で「モルック震災復興ななおオープン」が開催されました。

このイベントは、金沢文化スポーツコミッションがスポーツ庁の地方スポーツ振興費補助金「スポーツによる地域活性化推進事業(スポーツによる地域活性化・まちづくり担い手育成総合支援事業)(多角化支援)」を受けて実施したもので、「スポーツの力で能登を元気に」のスローガンのもと、被災地に出向き、被災された方と交流することで、能登を元気にすることを目指しています。

「復興」と「交流」をテーマに

能登半島の中央部に位置する七尾市には、2024年1月の能登半島地震、同年9月の能登半島豪雨の傷跡が今も生々しく残っています。会場に向かう道中では、屋根や壁がブルーシートに覆われた家屋がいくつも目に入りました。奥能登ではさらに被害が大きく、復興にはまだ時間がかかる状況です。

開会式では、七尾市長が「大会開催を通じて被災地に足を運んでいただくことが復興につながる」と感謝の意を述べるとともに、「いつでも元気に迎えられるよう、さらなる復興に取り組んでいきたい」と決意を語りました。また、金沢市副市長からは「モルックでの交流を通じて、能登に心を寄せていただくことが復興支援になります」と、大会に向けた挨拶がありました。

「復興」と「交流」をテーマに掲げたこの大会には、能登半島地震の復興への関心の高さもあって、8月の募集開始からわずか4日間で231チーム・およそ1,000名もの参加者が集まりました。参加チームの半数以上は初めての大会参加で、年代も様々でしたが、会場のあちこちで、楽しげに盛り上がり、笑顔で交流する姿が見られました。

七尾市長のあいさつ
選手宣誓は能登町の子どもたち
ご来賓の皆さんによる試投式で開会します
芝生広場が参加者で一杯になりました
初めての一投を暖かく見守ります
最後は天候が崩れたものの無事に決着

能登に心を寄せる能登マルシェ

会場となった能登歴史公園の芝生広場のすぐ隣には、「のと里山里海ミュージアム」があり、能登地方の歴史や文化を紹介する展示が行われています。ここでは震災前の能登地方の姿を垣間見ることができ、多くの参加者が試合の合間に見学していました。

また、休憩所の周りでは、能登地方の特産品を使った飲食ブースやお土産品を販売する物販ブースが並ぶ「能登マルシェ」が開催されました。21店舗すべてが能登地方のお店、または能登に縁のあるお店で構成されており、開店直後から閉会まで多くの参加者で賑わいました。

出店者によると、震災の影響で店舗が倒壊し、仮設店舗で営業を続けているお店もあるそうです。それでも「元気を取り戻して営業している姿を、現地に足を運んで感じてもらえると嬉しい」と語っていました。また、飲食店の多くは営業を再開できている一方で、旅館などの宿泊業は再開まで至っていないところが多く、復興まではまだ数年かかるだろうとのことです。
足を運ぶこと、食材を味わうこと、特産品を購入することも、被災地への支援の形です。これらを通じて、被災地に心を寄せることが復興の一助となります。

のと里山里海ミュージアムの展示
能登に縁のあるお店が並ぶ能登マルシェ
特産品やお土産物が並びます
能登半島で水揚げされたカニを使ったカニ汁

地域SCの広域連携の形

復興支援として開催されたこの大会には、運営面でも大きな特徴がありました。

主催者は金沢市・七尾市・金沢文化スポーツコミッションの三者でしたが、同じ石川県内に拠点を置くスポーツコミッションかほくと宝達スポーツ文化コミッションの2団体が共催に名を連ねていました。

これら2団体の役割は、当日の競技運営の協力だけではなく、広報活動や地域でのモルック体験会の開催を通じて、大会当日までの機運を高めていくことにありました。モルック人気が高まりつつある石川県ですが、体験会を機に初めてモルックに触れたという参加者の方も多く見られました。実際に、今大会が初出場となるチームが多かったことは、県内各地で行われた体験会の成果といえるでしょう。

さらに、当日の大会運営を協働するだけでなく、大会の本番前から各地域SCの活動拠点で実施可能な取組を行い、それを一つの協働事業へ結びつける流れは、地域SCにおける広域連携のモデルを示しています。

また、この2団体にとっては、主催した金沢文化スポーツコミッションの大規模イベント運営ノウハウを学ぶ機会にもなったことと思います。相互の資源を持ち寄り、それぞれに還元される形で実現した広域連携の在り方は、今後、多くの地域SCにとって参考になることと思います。

能登に心を寄せる
スポーツの力で能登を元気に

今回の大会は、「復興」と「交流」をテーマに、スポーツの力で能登地方の震災復興を支援する場となりました。モルックを通じた新たな交流や、特産品や文化に触れることで被災地への理解と関心が深まる機会が生まれました。また、運営面においても、地域SCの広域連携の新たなモデルを示しました。ぜひ今後の地域SCの事業の参考にしていただければと思います。