レポート

2025.06.05

「地域スポーツコミッションの外部人材活用セミナー」開催レポート

5月27日(火)に「地域スポーツコミッションの外部人材活用セミナー」がオンラインで開催されました。本セミナーは、地域スポーツコミッション(以下、地域SC)の運営体制の強化や事業推進力の向上を目的に、副業・兼業などの外部人材活用について、基礎的な考え方から実践事例までを共有する機会として実施されました。

第1部「自治体における外部専門人材の活用講座」

第1部では、自治体が外部専門人材を活用する際のノウハウや、導入に向けた具体的なステップについての説明がありました。近年は「副業」よりも、複数の仕事を主体的に担う「複業」人材が増えており、単なる金銭的な報酬を目的とせず、自治体との仕事を通じてキャリアを広げたり、自身のスキルを社会に還元したいという思いを持つ人が多いことが紹介されました。
こうした複業人材を活用するにあたっては、自治体・地域SC側がまず自らの課題を明確にし、それに基づいた要件定義を行うことが重要です。その上で、書類選考や面談を通じて人材との相性を見極め、採用後には業務の目的や役割分担、進め方を丁寧に共有することで、円滑な協働につながると説明されました。
また、三大都市圏企業に勤める人材が副業として地域に関わる「地域活性化企業人(副業型)」制度の紹介や、各地の自治体における導入事例も取り上げられ、制度と現場の実践をどうつなげていくかについて、具体的な手がかりが提示されました。

第2部「地域スポーツコミッションにおける副業人材活用事例」

第2部では、2023年度および2024年度のスポーツ庁「副業・兼業人材マッチング支援事業」の報告とともに、2つの地域SCにおける実践事例が紹介されました。
静岡県御殿場市のスポーツタウン御殿場推進協議会では、「空手のまちづくり」の中核をなす大会の継続と発展を目指し、協賛獲得に特化した副業人材を登用した取組が報告されました。選考にあたっては職務履歴だけでなく人柄や事業への思いを重視し、採用後は自治体職員にはなかったノウハウや人脈が組織の成長にも寄与したとのことです。一方で、民間と行政における事業の進行スピードの違いへの対応や、目的や役割のすり合わせといった課題も挙げられました。
続いて紹介された岩手県盛岡市の盛岡広域スポーツコミッションでは、アウトドアスポーツツーリズムの推進を目的に、企画やマーケティング、デザイン分野の副業人材を登用した事例が報告されました。登用された人材はいずれも高い専門性と地域への共感を持ち、職員に内製されたスキルやノウハウが、プロジェクト終了後も活かされるなどの成果があった一方で、庁内での調整や、制度継続に向けた予算措置の確保といった課題も残っていることが指摘されました。

質疑応答

参加者との質疑応答では、副業人材として活躍するために求められる資質について意見が交わされました。特に、地域の課題や行政の仕組みに対する理解、そして地方に貢献したいという意欲が重視されていることが共有されました。実際に自治体との業務経験を持つ人材は、スケジュール感や決裁の流れに対する理解があり、行政側との連携がスムーズに進んだという声も聞かれました。
また、外部人材の導入を検討している自治体に向けては、採用にあたって構えすぎず、フランクに関わることの大切さや、導入を通じて得られる学びの多さを前向きにとらえてほしいというメッセージが寄せられました。行政ならではの制約もあるものの、これからの時代には民間の力を積極的に活かす姿勢がより一層求められるという指摘も印象に残りました。


個別相談会のご案内

今年度も スポーツ庁では、「副業・兼業人材マッチング支援事業」を3団体対象に実施します。
「複業クラウド for Public」と連携し、民間の即戦力人材を活用して事業を推進したいという地域SCを支援します。
実証事業に興味をお持ちの自治体・団体の方向けに個別相談会(オンライン/30分程度)を行います。
ご希望の方は地域SC支援事務局までご連絡ください。
※実証事業は先着順になりますので、ご検討中の方はお早めにご連絡ください。

地域SC支援事務局(日本スポーツツーリズム推進機構[JSTA]内)
TEL:03-6441-2045(平日10時-17時)
Email:jsa2025sc@sporttourism.or.jp