レポート

2026.08.07

「地域スポーツコミッション基礎研修」開催レポート

2026年7月、地域スポーツコミッション(以下「地域SC」)の活動に携わる初任者を対象に、地域SCに関する基本的な知識や考え方を体系的に学ぶ「地域スポーツコミッション基礎研修」が開催されました。
全国から地域SC担当の初任者や地域おこし協力隊を中心に33名が参加。全4回のオンライン研修を通じて、地域SCを取り巻く現状や政策の流れ、先進事例などを学びました。また、グループディスカッションやワークショップを行い、理解を深めるとともに、参加者同士の交流を図りました。

DAY1:地域スポーツコミッション概論

初回は、「スポーツツーリズムと地域活性化」をテーマに、観戦型イベント、参加型イベント、アクティブ、ヘリテージといった類型や、旅行におけるスポーツの位置づけなど、[佐滝1] スポーツツーリズムの基本的な考え方を学びました。また、スポーツとほかの観光行動を組み合わせる「サプリメンタル観光行動」について、具体的な事例を通じて理解を深めました。
講義後のディスカッションでは、自地域の資源や課題を踏まえ、展開できそうなスポーツツーリズムについて意見交換を実施しました。地域の特色を生かす視点や、多様な関係者をつなぐ地域SCの役割を考える機会となりました。

DAY2:地域スポーツコミッションの過去と現在

第2回は、観光政策とスポーツ政策の変遷をたどりながら、地域SCが誕生した背景や、政策上求められる役割の変化を学びました。設置数の拡大を重視した段階から、地域課題の解決や経営の安定、人材の育成・確保を含む「質の向上」へと政策の重点が移っていることが整理されました。
後半では、2025年に全地域SCを対象に実施した基礎調査の結果をもとに、事務局体制や人員、予算、収入源、実施事業など、全国の地域SCの現状を確認しました。人口規模や組織形態の異なる地域SCの様々な事例から、地域によって多様な運営や事業展開が行われていることへの理解を深めました。
講義後のディスカッションでは、講義で紹介された事例と自団体の現状と照らし合わせながら、地域SCに求められる役割や、担当者に必要な知識・能力について意見を交わしました。

DAY3:地域スポーツコミッションの先進事例研究

第3回は先進事例研究として、千葉県鴨川市、岡山県岡山市、熊本県天草市の3つの地域SCから、それぞれの設立背景や組織体制、事業展開について学びました。
天草市スポーツコミッションからは、スポーツ振興課に事務局をおきながら市直営民間人材を活用し、行政の調整力と民間の専門性を組み合わせて、健康づくりや大会・合宿誘致などを展開する事例が紹介されました。
おかやまスポーツプロモーション機構からは、「暮らし続けたいと思えるまち」の実現に向け、産官学言(※メディア)による体制を構築し、地域内のネットワークやスポーツ資源を多様な参画者によって育てる重要性が示されました。
ウェルネスポーツ鴨川からは、ロゲイニングの教育旅行・企業研修への展開や、廃校施設の指定管理など、地域課題の解決と自主財源の確保を両立する実践が紹介されました。
3事例を通じて、地域の目的や資源に合わせて組織と事業を設計することの重要性について理解を深めました。

DAY4:ワークショップ


最終回は、これまでの講義や事例を踏まえ、今後自団体で取り組んでみたい事業を考えるワークショップを実施しました。
参加者は、「講座から取り入れたいアイデア」をはじめとした4つの視点から、既存の枠にとらわれず自由にアイデア出しを行うワークに取り組みました。その後、グループ内でアイデアを共有・選定し、参加者同士の意見を掛け合わせながら、地域の資源や課題を生かした取り組みを考え、全体で発表しました。

全4回を通じて、スポーツツーリズムや政策の変遷、先進事例を学び、自団体での実践を構想するところまでを一貫して進めました。参加者同士の対話を通じて地域SCへの理解を深めるとともに、今後の活動につながる視点やネットワークを得る機会となりました。

参加者の声(参加者アンケートより一部抜粋)

「同じような課題や悩みを抱えていたり、同じような熱量を持っている方々とディスカッションができ、とても刺激になる機会でした。」
「地域の課題や魅力、強みや弱みがそれぞれだからこそ、いろいろな団体の事例や現状の話を聞き、考えを共有しあうことができたのはとても良い経験になりました。自分の中でまだ曖昧だった「地域SCとはどういうものか」について、いろいろな形があるということを知ることができました。」
「受講を重ねるにつれて、自団体や自分の役割を見つめなおすことや整理ができました。基礎研修をきっかけに、これから何に・どのように取り組むかを団体内で話し合う機会が増えました。」