「地域スポーツコミッションシンポジウム2024」開催レポート
2024年2月6日、東京都内にて「地域スポーツコミッションシンポジウム2024」が開催され、全国の地域スポーツコミッションや企業、108名が現地参加しました。
スポーツ庁では、地方公共団体、スポーツ団体、民間企業等が一体となり、スポーツによるまちづくり・地域活性化を推進していく組織である「地域スポーツコミッション」の新規設立や、その「質的な向上」に向けた新たな事業展開へのチャレンジ等をモデル的に支援するとともに、その基盤となる人材の育成・確保の取組を推進して参りました。
今後、更なる地域スポーツコミッションの「質的な向上」に向け各地域スポーツコミッション間や地域スポーツコミッションの中心となる人材間の知見・ノウハウの共有化を図るため、標記シンポジウムを開催しました。
目次
開催概要
「地域スポーツコミッションシンポジウム2024」は以下の通り開催されました
<概要>
【開催日時】2024年2月6日
【開催場所】浅草橋ヒューリックホール
【主催】スポーツ庁
【プログラム】
13:00- 主催者あいさつ 室伏 広治(スポーツ庁長官)
13:10- 基調講演「今治が目指スポーツによるまちづくりと人材育成」
岡田 武史氏
(株式会社今治. 夢スポーツ 代表取締役会長、公益財団法人日本サッカー協会副会長)14:30- 実証実験事業報告会〜地域SCの人材活用について〜
・地域おこし協力隊採用マッチング
一般社団法人ツノスポーツコミッション 小松原 駿氏
・副業兼業人材採用マッチング
軽井沢カーリング活性化プロジェクト推進委員会 山田 恭輔氏
・大学生インターンシッププログラム
一般社団法人土佐町スポーツコミッション 古賀 智志氏
15:45- 今後のスポーツ庁の取り組みについて 田中 一明(スポーツ庁参事官(地域振興担当))
16:00- 名刺交換会
16:20- 地域SC交流会
開催レポート
主催者挨拶
スポーツ庁長官の室伏 広治より、地域スポーツコミッションの人材確保や育成における課題解決につなげてほしいという本シンポジウムの開催意図、そして、今後のスポーツまちづくりに対する高い期待と、スポーツ庁の意気込みをこめて挨拶をさせていただきました。
基調講演
大阪体育大学学長/(一社)日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)代表理事の原田 宗彦氏より、スポーツを活かした地域活性化におけるスポーツコミッションの役割、スポーツと地域のあり方についてお話をいただきました。
次に、株式会社今治. 夢スポーツ 代表取締役会長/公益財団法人日本サッカー協会副会長の岡田 武史氏より、「今治が目指すスポーツによるまちづくりと人材育成」というテーマで講演をしていただきました。
(講演内容抜粋)
FC今治の企業理念である「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」という軸に基づき、事業を行っています。
スポーツや文化の成長がこれからの時代に必要なものであるということを訴え、その夢と理念に共感し、ヒトモノカネが集まってきました。
サッカースタジアムを核に、賑わいがあり、地域とヒト、ヒト同士をつなぎ、人々の感性を呼びおこす、次世代の文化・交流拠点を目指し、「ここにいる全ての人たちが、心震える感動、心踊るワクワク感、そして心温まる絆ができる夢スタジアム」というスタジアムビジョンを作り、あらゆるワクワクを散りばめて楽しめる場所を作ろうということで、今治里山スタジアムのプロジェクトに取り組みました。
このような取り組みを進める中で、シビックプライドが高まり、生活する人たちがいかに幸せそうにイキイキと生きているかを発信することで、今治には2100人の移住者が集まってきて、日本一移住したいまち(20万人以下の都市)にも選ばれ、今治が変わりだしました。
これからAIが発達し、AIが正解に導いてくれます。人間は正解がわかればそれを選びたくなり、失敗のない人生になる。それは悪いことではないが、人間の幸せは失敗したところからもう一度立ち上がって成長したり、誰かと助け合って絆ができたり、もう一つの幸せが必要となります。
それを提供できるのはスポーツであり文化であると考えています。
<原田 宗彦氏 × 岡田 武史氏 対談>
岡田氏の講演に続いて、原田氏との対談が行われました。
ーー夢の実現のための第一歩は何が大事か?
遠征の基金作りや、母子家庭は無料など、「ものの豊かさより、心の豊かさを大切に」「次世代のため」という企業理念にそった事業を行ってきました。
その結果、コロナ禍においても経営状況の苦しいパートナーさんが応援してくれました。
ぶれない企業理念をつくり、全ての行動において判断軸を作ることが大事だと考えます。
ーー経済的成長も必要だが、文化的成長も必要ということについて
売上をあげたいという想いはあるが、企業理念を曲げてまで売上をあげたいとは思わないという、守っていかないといけない基準を作ることが必要だということです。
ーー次の10年のビジョンは
ものが溢れる中で、人が再び動き出し、シェアやコモンズという世界が来る。変化する世の中で細かく設定をすることは難しいが、企業理念を実現する社会に向かっていきます。
ーー今後の今治のスポーツエコシステムは日本の各地で可能か
十分可能だと思う。里山モデルができたことで、次は実現しやすい。しかし、志が高いところへ向かい、リスクにチャレンジする勇気は必要だと思います。
実証実験事業報告会〜地域SCの人材活用について〜
2023年度スポーツ庁地域スポーツコミッション基盤人材育成サポート事業の実績について以下の3つの地域スポーツコミッションより報告を行いました。
各地域スポーツコミッションから、良かった点や課題点について発表をいただき、今後事業を行っていくための道筋が見える時間となりました。
・地域おこし協力隊採用マッチング
一般社団法人ツノスポーツコミッション 小松原 駿氏
・副業兼業人材採用マッチング
軽井沢カーリング活性化プロジェクト推進委員会 山田 恭輔氏
・大学生インターンシッププログラム
一般社団法人土佐町スポーツコミッション 古賀 智志氏
今後のスポーツ庁の取り組みについて
スポーツ庁の今後の取り組みについて、スポーツ庁地域振興担当参事官の田中 一明から説明をさせていただきました。
特に、地域経済の活性化を図る「スポーツまちづくり」を推進していくため、
その担い手となる地域スポーツコミッションの人材の育成・確保に向け、副業兼業人材等を活用した、多角的な事業展開へチャレンジの支援、人材育成サポート事業においては、今年度行った研修講座やマッチングのスキームのブラッシュアップを行うことについて、お伝えさせていただきました。
地域SC交流会
シンポジウム終了後は、地域SC関係者限定の交流会が開催されました。
「地域スポーツコミッション協議会in金沢」で好評であった、コミッション同士のマッチングを強化し、実証事業報告をいただいた一般社団法人ツノスポーツコミッション、軽井沢カーリング活性化プロジェクト推進委員会、一般社団法人土佐町スポーツコミッションと、詳しく情報交換できるような機会を設けました。各団体の実情に合わせた活用など、熱心な議論が交わされていました。
また、観光庁、農林水産省が地域SC交流会に参加し、観光におけるスポーツの活用や、農村漁村における連携の可能性について各地域SCと意見交換がされました。